このブログを検索

2013年9月9日月曜日

伊賀越ひとくちコラム(2)~なすび~

*この秋、4劇場(※)で歌舞伎・文楽が上演される『伊賀越道中双六』。

ブーム到来な予感!?な『伊賀越』が気になるあなたのための、ひとくちコラムです。

※ 9月国立小劇場(文楽)、9月公文協西コース(歌舞伎)、11月国立大劇場(歌舞伎)、11月国立文楽劇場(文楽)


今日のテーマはこちら!

 
●伊賀越はなすび??●  伊賀越レベル★★☆


※画像は素材屋小秋さんのフリー素材をお借りしています


「一に富士 二に鷹の羽のぶっ違い 三に名を成す伊賀の仇討ち」

という文句があります。

これは敵討ちをテーマにした物語をするときに講釈師がよく使う文句として有名です。
(講釈師とは、歴史上の戦いの物語や有名な事件などを、お客さんの前で調子よく語って聞かせる人のことです)


「一に富士」は、曽我兄弟の敵討ちをさします。
曽我兄弟は源頼朝による富士の裾野の狩に潜入して、父の敵・工藤祐経を討ちました。

「二に鷹のぶっ違い」は、赤穂浪士の敵討ちをさします。
大石内蔵助らの主君・赤穂浅野家の家紋が、鷹の羽だからです。

ちなみにこのような紋です。同じ鷹の羽でもいろいろ種類があるんだとか。



そして「三に名を成す伊賀の仇討ち」は、もうわかりますね、伊賀上野の敵討ちです。
荒木又右衛門はこの敵討ちにより、剣客として後世に名を残しました。
前回の記事でも触れましたが、「荒木又右衛門の三十六人斬り」の物語は、講談の人気の題材でとなりました。
ということで、又右衛門が「名を成す」、有名になった、という意味です。



ところでこのワン・ツー・スリーの組み合わせ、どこかで見たことあるような気がしませんか…?

そう、初夢に見ると縁起のよいという、「一富士二鷹三なすび」にそっくりですね!

皆様、必ず一度は、この「なすび」って何だろう?と気になったことがあるのでは。

どうやら「一富士二鷹三なすび」は、この3つの敵討ちが由来といううわさがあるのです!

つまり、「なすび」は、又右衛門が「名を成す」の「なす」

3つの敵討ちがみな本懐を遂げてめでたい、それにあやかろう、ということです。


とはいえ「なすび」伊賀上野の敵討ちにしてしまうのは、ちょっとこじつけっぽいですね。
伊賀で茄子がたくさん獲れたわけでもなさそうですし、
インターネットで調べてみたら
「なすのヘタが''いがいが''(伊賀伊賀)しているから」
なんて説も出てきましたが…^^;


個人的には、三大敵討ち「一富士二鷹三なすび」の由来というより、
「一富士二鷹三なすび」三大敵討ちを当てはめたのだと思うのですが、

ともあれ、それだけ3つの敵討ちが有名だったということでしょう!


そんな有名な敵討ちの物語の『伊賀越え道中双六』、ぜひぜひ見に来てくださいね~!




ちなみにこの「一富士二鷹三なすび」、
一に富士山、二に愛鷹山、三に初茄子の値段と
徳川家康ゆかりの駿河国(今の静岡中央~西部)の高い物を列挙したという説が有力のようですが、やはりよくわかっていないようです。


・・・

次回は『伊賀越』と『忠臣蔵』の意外な共通点についてです。

お楽しみに!



0 件のコメント:

コメントを投稿